
あたしたちは月に1回だけ身体を重ねる。
時間も手順も同じ。
それには、理由があって……
「排卵日ってあるんでしょ。その付近にやる方が効率がいいじゃん」
「もし、できない身体なら、やってもイミないじゃん」
尾崎衣良先生の手がける苦いけれどメッセージ性の強いビターな恋愛をテーマにしたオムニバスコミック「てのひらに秘密をひとつ」
犯罪とは異なる『罪』を犯した女性たちが、もがきながら結末へ行く描写が魅どころとなっています。
2話「あなたが浮気をしない理由」では、生真面目な女性が愛する旦那と愛し合おうと奮闘するものの、何故か拒絶されてしまう話です。
旦那はギャンブルもしなければ、不貞もしない誠実タイプ。
しかし、身体を重ねる行為も妻の排卵日付近である『月1』しか行わないという効率重視型で……
二人の間に愛はあるのか?
オチはもちろんですが、全体を通して、夫婦の在り方を考えさせられるストーリーとなっています。
- 夫婦の在り方を考えさせられるストーリーが読みたい
- 一見、優良物件な旦那に潜む闇…な話を読むのが好き
- 健気に頑張っても報われない女性が最終的に新しい道を選ぶ展開がツボ
※本ページは「てのひらに秘密をひとつ2話/あなたが浮気をしない理由」のネタバレありレビュー記事です※
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Contents
【解析】てのひらに秘密をひとつ「2話/あなたが浮気をしない理由」
登場キャラクター
西方 一絵[にしかた かずえ]
自他認める生真面目な女性。
それ故に今までガリ勉などと陰口を叩かれがちだったが、聡だけは自身の生き方を『立派』と褒めてくれたのを機に想いを寄せるようになった。
結婚後、夫の聡と愛し合うための行為を望むが拒絶されてしまう。
西方 聡[にしかた さとし]
一絵の夫。
誠実に見えるものの、やたら世間体を気にしている節がある。
行為を子供を作るためのルーティンとしか思っておらず、それで一絵を苦しめているのに気づいていない。
ストーリー・魅どころポイント
ある周期のみでしか行為をしない夫婦の闇
一絵は夫の聡と月一度、身体を重ねる夫婦関係。
周期は毎回同じで『一絵の排卵日』に近い日。
内容も同じで、ほぼ作業。
更に終わった後は、ピロートーク以前に聡から「(行為をするのが)きつい」と嫌味を言われる始末。
愛し合う行為とは、とても遠い現状に一絵は自身から誘ったり、見た目を磨くなど努力をするものの、返ってくる言葉は軽蔑の類で…
「女がそーゆーこと、言うなよ」
聡は、行為すること自体があまり好きでないにも関わらず、やたらと子供が欲しいと言うタイプ。
一絵は、そんな彼のために、排卵期に合わせた周期で体を重ねているわけですが
「なんでまだ、子供できないの?」
「これ、毎月、子供ができるまで続けるのしんどいんだけど…」
「病院で診て貰えよ。もしできないなら、やってもイミないじゃん」
貰う言葉は感謝などではなく、こちらを非難する言葉。
そんな日が続き、一絵の精神は摩耗していく一方でした。
(『夫婦の行為』って子供ができないと意味ないの?)
(聡くんって……なんで、あたしと結婚したんだろう)
彼女がモヤモヤポイント多すぎ旦那を愛する理由
聡はギャンブルやタバコも一切せずのいわゆる誠実系。
もちろん、仕事もしっかり通い、ちゃんとした成果も出しています。
浮気も……していないはず。
しかし、行為に関しては一絵の意思無視でルーティン状態。
子供ができなければ一絵に責任転換をしてくる。
会社の同僚を急に連れて来ては接待を強要させるなど、かなりの地雷部分も見え隠れする男性。
しかし、一絵は聡と出会えて結婚できたこと自体、奇跡なのだと言い切ります。
元々、一絵は真面目過ぎる性格故に同性・異性問わず馬鹿にされることが多かったのですが、聡だけは一絵が周囲から笑われる部分を『立派』と評し、褒めてくれ、好意を抱いてくれました。
そんな彼を愛する一絵は、聡からも愛されたいわけで。
聡とのレスを相談した親友から浮気を示唆されても、拒否した理由は旦那を愛しているから。
しかし、一絵の想いは、必死の決断と同時に裏切られることに。
彼女がモヤモヤポイント多すぎ旦那を愛する理由
鬱憤がたまり続けた一絵は現状を打破したく、恥を忍び、自身の本音を告げます。
好きな人と、純粋に愛し合いたい。
聡と子供の件関係なく、行為がしたい。
しかし、返ってくる言葉は
「なんで?夫婦って身体だけの関係性じゃないでしょ?」
とだけ。
更には、そんなことよりも、と自分の母親の誕生日についての相談事を優先し始めます。
彼にとって一絵の悩みよりも母親が大事なようで。
「一絵はしっかりしてるから助かってるんだよ」
聡の反応に失望した矢先、一絵は胃の痛みを生じ違和感を覚えます。
翌日はあまりの痛さで動けないほどに。
しかし、聡は仕事があると言い、さっさと出かけてしまいました。
(なんで子供ができたかもしれないのに、行っちゃうの……)
様々な情が渦巻く中、一絵は下半身からの出血など状況が悪化。
なんとか動けるようになった身体に鞭を打って産婦人科に足を運ぶものの
「妊娠?してませんよ。だってあなた……」
医師からの言葉で一絵は、自分がしていた『復讐』を思い出します。
それは、愛してくれなかった夫への不貞よりも深く、重い罪。

【感想】夫婦の好きが噛み合わないと悲劇しか生まないのが分かる話
誠実な旦那に見えるけど地雷男。
誠実な妻に見えるけど、一つだけ旦那に不誠実なことをしていた。
お互い、見た目とは異なる秘密を隠していた(前者は天然で後者は意図的なので、ヤバさは全然違うんですが)関係性がエグくいと思いながらの読了でした。
聡も一絵も今に至るまでに、色んなコンプレックスあるのもリアルだなと。
一絵の生真面目系が好きな人のためにと必死に頑張る姿が健気で可愛かったので、拒絶されるシーンは読んでいて心が痛かったです。
また、学生時代は、様々な人から真面目な性格を馬鹿にされていて、そんな自分を愛してくれたのは聡だった…と語っていたわけですが、一絵のことを誠実だと嫌味抜きで言ってくれる会社の同僚男性がいたり、一絵の仕事っぷりを(性別で差別することなく)評価してくれる人がいたり、解決策が斜め上だけれど、悩みを聞いてくれる友達の存在はいたりと周りには彼女を想ってくれる人は確実にいるので、近い未来で幸せになれるのかなと。
同僚くん、軽い性格に見えつつ、距離の取り方もしっかりしてるし、他同僚が一絵を馬鹿にしてもフォローしたりと、いわゆる世間体重視の聡とは正反対なので、上手く行けばそのまま良い感じになって欲しいですね。
終盤のシーンで聡が一絵に好意はあったけど…な前置きして行為をしたがらない理由や、一絵を結婚しようと思った経緯を話していましたが、一絵のつっこみ(愛情よりも●●が大切だったんでしょ?)が的確だと感じました。
彼が浮気しない理由もなんというかアレ…一絵の指摘通り。
もし、あのまま一絵が妊娠出産したら、聡は子供を愛する以前に、天然モラハラ悪化させてたように思えましたし(一絵のある指摘で暴力振るってたし)描写的に一絵より親を優先するタイプのような気もしたので一絵の聡に唯一行った不誠実は、結果的にやっておいて良かったと思います。
結局、結婚も親にしろしろ言われてたんじゃね?という印象でした。
で、一絵は都合が良い最高の相手だったと。
旦那にも父親にも向かないタイプ。
聡の行動パターンまとめたら、パッ見は良い人だけど実は地雷男判定に使えそう。
そういえば、途中で1話の主人公・沙季が出て来たのは嬉しいサプライズでした。
1話で沙季が見知らぬ相手に傘を貸すシーンがありましたが、あれが一絵だったとは…!
こういう、実はこのキャラクターたちは関わっていました系好きなので嬉しかったです。
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