旦那さまに真実を言えば、出ていかないといけない。
けれど、出て行きたくない。
行く当てがないとかではなく、大切な人がいる”ここ”に いたいから……
家族に虐げられ続けた幸薄い少女と、訳アリ冷徹男の『幸せ』がテーマの和風ファンタジー作品「わたしの幸せな結婚」
8話ラストまでは、清霞と美世の関係が少しずつ、確実に良い方向へ進んでいた状態でしたが、全てが上手くいくはずもなく…な展開に気が滅入ったりなど、様々な感情が過る展開でした。
香耶との再会と罵倒で自分が変われていないことや、無能である現実が過り、心が淀む美世。
裏では清霞が斎森家に美世を想うが故のけん制をしたり、ゆり江が香耶から美世を庇ったりしたものの、気持ちは晴れないようで…
心に深い傷を負った美世は、立ち直れることができるのか！？
- 辛く切ない展開の中に救いや暖かさのある描写が好き
- 気持ちが底へ落ちていく絶妙な描写が見たい
- 自我を持ちたくても持てなかった少女の本音が聞けるシーンが刺さる
※本ページは「わたしの幸せな結婚 十話・泣かない婚約者」のネタバレありレビュー記事です※
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Contents
【解析】わたしの幸せな結婚 十話「泣かない婚約者」
登場キャラクター
斎森 美世[さいもり みよ]
家族から理不尽な扱いを受け続け、追い出される形で清霞と婚約に至った少女。
清霞、ゆり江と時間を重ね、上向きな変化が生じていたが、香耶との再会を機に自己嫌悪に陥り心を閉ざしてしまう。
塞ぎ込む最中、更に予期せぬ人物との再会が待ち構えていた。
久堂 清霞[くどう きよか]
美世の婚約者にして、対異特務小隊の隊長を務める男性。
意気消沈した美世を心配するが、話すら出来ぬ状態となっている。
斎森家の行動や自分を狙う影の存在など、悩みの種が多々ある様子。
ゆり江
清霞に仕える親代わりの使用人。
街での一件を言いたがらない美世に代わり、清霞に事情を説明しつつ、ある助言をする。
五道[ごどう]
清霞の側近を務める男性。
女性と長続きしない清霞に興味を注がれている美世が気になっている模様。
現在は清霞から、ある秘密任務を受けている。
花[はな]
元斎森家の使用人で、美世にとっては母代わりでもあった。
美世の悲惨な境遇を傍観できず、庇ったことが原因で香乃子（美世の継母）の怒りに触れ、解雇されてしまった過去を持つ。ある事情で美世と数年越しの再会をするが……
ストーリー・魅どころポイント
傷心の美世と彼女を救いたい清霞が切ない
街での一件後、美世は初めて久堂家へ来た時のように心を閉ざしてしまいます。
ゆり江から事情を聞いた清霞は美世を助けたいと思いつつも、今まで異性との触れ合いを避けていたため、何をしていいか分からない様子。
「どうしたら、彼女は自信を持ってくれるのだろうな…」
「坊ちゃんが大事にしてさしあげれば、美世さまも心強いはずです。女は愛されて自信をつけるんですよ？」
後押しされた清霞は、美世の元へ行き、己の気持ちを伝えますが美世の自尊心は無になっているためか、届かず。
無理強いを避けたい清霞は、美世から話せるようになるまで待つと伝えるものの1週間経っても、状況が改善することはありませんでした。
絡みつく悪意に対し、清霞が下した決断
美世を心配する清霞には、悪意と悩みの種がいくつもうごめいています。
斎森家が『美世への謝罪』について一向に回答してこないこと。
自分を見張る術式の存在が今もあること。
これらを、どう対処すべきか……
「まさか隊長が女性がらみでこんなに調子を崩すなんて…何が起こるかわからないものですね～」
気の滅入った表情をしていた清霞の元にやってきたのは側近の五道。
最初こそ、冗談交じりの雑談をはじめますが、彼の本題は『清霞から託された極秘の任務』について。
それが誰のためで、何のためかは明日分かるようで……
恩人との再会を経て吐露される美世の本音
翌日。
清霞への贈り物を作りながら、追い出される未来を考え、気を滅入らせている美世。
気持ちを変えようとも香耶の言葉が呪いのように振りかかり、どうしようもない状態になっているようで。
（旦那さまに髪紐を渡したら…全てを打ち明けなくては…）
（けれど、真実を言えば、ここには二度と入れなくなる……）
憂鬱一辺倒になっている最中、美世はゆり江から客人が来ていると報告を受け、通すことに。
「お久しぶりでございます……お嬢さま」
美世に会いに来たのは、かつて、自分を庇ったせいで斎森家を追い出されてしまった使用人の花でした。
継母の怒りを買い、職を失った花は美世のことを案じながらも、懸命に生き、現在は夫と農業で生活を紡いでいるとのこと。
花の優しさに触れ、美世は今まで口に出さなかった不安を一気に吐き出します。
能力を受け継ぐことなく、学も無いに等しい。
見た目は華やかとは程遠い。
そんな人物がいて良い理由など無い。
……けれど、ここにいたい。
利害などは一切なく、再び希望を抱かせてくれた清霞とゆり江と離れたくないから。
「でも…わたしは、旦那さまの妻に相応しくない…ずっとここにいたらだめなのよ」
涙を流し、ようやく本音を口にする美世。
そんな彼女に花は、美世に会いに来た“本当の理由”を語り出します。
「お嬢様…私が、どうやってここに来たのかおわかりになりますか？」
考えれば簡単なこと。
斎森家と縁がなくなった花がここに来れるなど、誰かの手引きがなければ不可能だ。
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【感想】美世の望む幸せと、花との関係性に泣いた
ようやく少しずつ変われるようになった美世がゼロどころかマイナスな感情値になってしまう出だしが辛かったですが、その後の展開のおかげで心が洗われる回でした。
花さん、美世が見た悪夢に少し出てきてたので（美世が澄美の遺品を香乃子に捨てられた挙句、逆ギレされて虐待された話＆花は最終的に解雇された件）登場して驚きつつも凄く嬉しかったです。
そして、最初は斎森家が花さんに何らかの脅しをして、美世を引き込もうとしてる胸糞な流れだったらどうしようと心配してすみませんでした。
（途中で清霞が斎森家の動きについて疑ってたのが伏線だと勘違いしていました）
清霞の不器用な優しさ……かっこよすぎて萌え泣きます。
最初はゆり江さんに（美世に自信をつけさせるには）どうすればいいか分からないと相談していたものの、できる限りの行動を起こせるのは素晴らしいし、尊敬します。
恐らく、途中で五道に指示してた話が花さん関連だったのかと。
あと、勤務中に五道から美世の話を振られた際に、かなり大人げないこと言ってたりして、実質・結婚済みじゃないか！？と思ってしまったくらい。
「お前にはやらん（めちゃくちゃ真面目）」は既に夫の台詞！！！
五道にもつっこまれてたのが可愛かったです。
清霞の手引きと、主の背中を推したゆり江さん、そして、花さんの変わらぬ美世への情が、美世の本音を出させたのかなと思うと、胸と目が熱くなる……！！！
確かに美世は多くの人に嫌な感情を向けられてしまった人生ですが、彼女を大切に想っている人は少なくとも3人はいるんだよ的な。
（あと、幸次もなんだけど、立場的に伝わってないのが切ない）
旦那になる清霞だけじゃなくて、花さんとゆり江さんのことも大切に想ってる美世がもう本当大好きでたまりません。
次では、ようやく本音を口に出せるようになった美世が、清霞に無能力の件などを打ち明ける予感がしますね。
清霞は気づいているので、美世が恐怖していることは100%起きないんですが、早くそれを美世に伝えて欲しい。
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